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 渡辺医院より毎月一回発行されている『健康新聞』から、記事の一部を紹介します。(2003.2.28更新)



『健康新聞』第430号より

「脳梗塞」について(1)
医学博士
渡辺 正

 脳卒中という言葉があります。
 昔よく中気が当たったといいました。脳卒中とは「脳が卒然と当たる」という意味で、卒然は急にであり、中は命中の中で当たることを意味し、この場合の当たるというのは手足が動かなくなることで、症状を忠実に表現している病名です。
 昔は脳溢血という病名がよく使われましたが、解剖して脳の中に血液があふれていたことから付けた病名です。同じ頃に血圧計が発見されていますが、血圧が高いとか低いとかの判断をするだけで、まだ脳卒中の原因としては全然結びつきませんでした。平均寿命の短かった頃は脳卒中の数は多くなかった(その年齢まで生きていない)のですが、突然手足が動かなくなり、口がきけなくなって死んでしまったので、大変恐れられたものです。
 脳卒中は脳の血管が破れて血液が流れ出し、脳を圧迫しておこることが判ったのは、二十世紀に入ってからです。ところが出血以外のものが見られるようになり、脳梗塞すなわち動脈が詰まりそこから血液が先にいかなくなり、脳の細胞が死んでおこる脳卒中がみられるようになりました。そして次第にこの形の方が増加してきて、最近では七対三の比率で後者が多くなっています。両者の区別は以前は臨床症状だけでなかなかつかなかったのですが、最近はコンピューター断層写真(CT)ができて以来直ちに出血か梗塞かの区別がつくようになりました。ただし、治療の原則はそれほど変わっていません。
 脳出血が多かったのが、何故脳梗塞の方に移行していったかは、脳の動脈硬化の成因の差と考えられています。
 いずれも脳の動脈硬化が原因でおこるのですが、そこには月とすっぽんほどの差があります。
 一口に動脈硬化といっても、脳動脈では形の全く違ったものが二種類あり、そのいずれかにより出血と硬化に分かれます。
 血管の壁は外膜、中膜、内膜の三層からなり、内膜の内側には内皮細胞という細胞がきれいに張りつき血管を守っています。この若いきれいな血管の状態では、血圧が10倍に上がっても破れないといわれています。更に脳の血管の特徴に、中膜が他の血管と比べて薄いという欠点があります。
 脳出血を起こすときの動脈硬化は、この中膜(筋肉細胞層)が外側に向かって委縮して血管の壁が次第に薄くなっている。ついに一番弱いところが血圧によって外側に押し出され、小さな動脈瘤という瘤を作ります。これが血圧に耐えかねて破れますと脳内に出血し、その広がりと左右の差などにより、いろいろな症状が出てきます。原因は蛋白質の不足といわれ、出血ですから急激に進行して症状が出揃うのが早いという特徴があります。
 一方、脳梗塞の動脈硬化は血管の一番内側の内皮細胞がはがれ落ち(原因の一つにタバコがある)、その場所から内膜層に血液中のコレステロールがどんどん入りこむことから始まります。放っておくと大変ですから、中膜層から筋肉細胞が出てきて、次から次へとコレステロールを食べ始めます。ところが、コレステロールは一切構わずにどんどん入ってきますので、腹一杯になってしまった筋肉細胞はもはや処理能力が不能になって死んでしまいます。この死骸が内膜層にたまり血管の内腔に膨れ上がってきたのが「粥状硬化」で、血液の流れが細く悪くなってきます。しかもこの動脈硬化が全体の七割にならないと何の症状も出ないため、全く気づくことなく過ごしてしまいます。
 七割以上に進行した頃に、血栓(血液の固まりで、心臓の弁や頸動脈にできたものが、ちぎれることが多い)がひっかかり血流を塞いでしまうと、急激に脳梗塞がおきてきます。これを「脳血栓」と呼びますがこの場合は脳出血と症状は区別がつきません。
 更に別のタイプは、粥状硬化が八割、九割と進行してきた時で、いろいろな症状が出てきます。  例えば「一過性脳虚血症」といって、手足が動かなくなっても一日で治ったり、「完全回復脳梗塞」といって、一ヶ月以内に治ってしまうものもあります。これら軽いものは別として、本来の脳梗塞の場合は、症状が徐々に出てきて全部出揃うのに時間がかかるという特徴があります。
 この粥状硬化は食事の欧米化と運動不足によるといわれ、蛋白質も沢山とるが脂肪もたくさんとるということで、脳出血の減少と脳梗塞の増加が目立ってきました。
 脳卒中の症状は原因が異なっていても、脳の神経細胞が死んだためにおこる欠落症状ということで皆同じであり、一番多いのは半身不随です。これは中大脳動脈の支配下におこり、解剖学的に血管が一八〇度近く折れ曲がっていて血圧を大きく受けるため、内皮細胞がはがれて粥状硬化ができ易い場所といわれています。
 動脈硬化は全身一様にくるものではなく、現在の医学では簡単に全身の動脈硬化を見つける方法はありません。
 四〇歳を過ぎたら自分にも当然動脈硬化ができているものと考え、運動と食事に注意することが必要です。
  1. よく歩くこと、最低でも、30分くらいの散歩を1日2回。
  2. 肉食と塩分を控えめに、偏食せずにバランスよく腹八分目!!特に生野菜と海草を摂るようにしましょう。
  3. 生水及び柿茶(ビタミンC)を各1リットルずつ飲むこと。
  4. 脳梗塞はすべて慢性便秘症が根本源原因です。
    毎日快便に心掛けましょう。
    スイマグ(水酸化マグのコロイド状水溶液)は便秘解消に有効。
  5. 西式の保健療養の六大法則を毎日実行します。
    高血圧、高脂血症、動脈硬化症、心臓病等のもろもろの病気の予防と治療に有効です。

脳梗塞の前ぶれ
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