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渡辺医院より毎月一回発行されている『健康新聞』から、記事の一部を紹介します。(2003.9.28更新)
『健康新聞』第449号より
西医学健康法
保健養生六十三則(2)
医学博士 渡辺 正
- 断食またはなにかの都合で食事を中止した後のはじめての食事は、充分に咀嚼するか、粥食か、そして少量とすること。(西医学断食法参照のこと)
- 生野菜を極力摂ること。気持ちが悪ければ、二分間煮とすること。
- 胎便、黒便、古便などのごとき宿便は、できるだけ排除する方針とする。
- 慢性下痢症を、そのまま放置するときは、直腸ガンとなる恐れがある。生の清水の飲用、林檎の絞り汁または玄米粉の方法などでなおすこと。
- 便秘に、ヒマシ油、食塩水その他の峻下剤を用いてはならない、水酸化マグネシウムの乳剤ならばさしつかえない。
- 危急存亡の際以外には、峻下剤を用いぬこと。これを用いるときは、虫垂炎の症状の有無を充分調べ、そこに炎症のないことを確認してからでなければならない。
- 寄生虫を駆除すること。
- 陰部および肛門などに、糞便のごとき汚物の残留物を付着せしめざること。用便ごとに、冷水で洗うことが理想であるが、少なくとも一日一回の洗浄は必要である。
- 病毒感染を放置してはならない。
- 疲労を回復せずして、暴飲、暴食、房事、労働、歩行などをしてはならない。
- 黴菌、またはウィールス(Virus)に起因する悪寒戦慄、頭痛、全身倦怠、四肢疼痛、発熱などのとき、暴飲、暴食、房事、労働、勤労、歩行などをしてはならない。
- 怪我を、そのままとすることなかれ。すみやかに毛管運動によってなおすこと。
- 内出血を、そのままにすることなかれ。すみやかに、胸椎七番を叩打して、これを止めておくこと。
- 腸捻転または腸閉塞を起こすがごとき行為、または生活をしてはならない。朝夕、金魚運動によって、これを正しておくこと。
- 巨大膿腫をきたすごとき生活をしないこと。裸療法と金魚、毛管運動とは、その予防となる。
- 足の機械的故障と、循環不全とを放置しないこと。
- 足の静脈瘤または静脈怒張を、そのままとしないで、脚絆療法でなおすこと。
- ビタミンの欠乏、ことにビタミンCの欠乏のないよう留意すること。つねに柿の葉茶または煮汁からのビタミンCの補給を怠らぬこと。
- 一ヵ月一度は血圧を計り、その比が11分の6から8までの間にあるようにせよ。
- 心の安定を欠くがごとき不安状態の原因を明瞭にし、はやくこれを解決しておくこと。
- 病を恐れず、無病を求めざること。藕益大師著「浄土要」、巻の三にあるつぎの言葉を熟読吟味すること。
一念不求無病。身無病則貪欲乃生。貪欲生必破戒退道。知病性空病不能悩。以病苦為良薬。
----読み方
一つには、身をおもうて無病を求めず。身無病なればすなわち貪欲これ生ず。貪欲生ずれば、必ずいましめを破り、道をしりぞく。病性の空なるを知れば、病も悩まず能ず。病苦を以て、良薬となす。
----大意
一つには、身体はたいせつにするけれども、病気のまったくない健康体は希望しない。身体に、まったく病気がないということになると貪欲という貪り欲ばる心が生ずる。貪欲の心が起こると、必ずいましめを破り道をしりぞく、でたらめをやるようになるから、身体をいためる。病性の空というのは、下痢はそのままの下痢であり、発熱はそのままの発熱であって、そのほかに何物もないということも知るならば、病気だといって、心を悩ますことはない。病苦をもって、身持ちを正すというよい薬とする。
- 一度病気にかかって、症状があらわれたならば、その症状をよく観察して、それに適応する手段をこうずれば、すぐになおってしまう。
- 年齢を忘れること。もう70だ、もう80だといって、年寄りじみないこと。
- 無理が通れば、道理の引込むことを再認識すること。
- 心身は、二にあらずして、一なることを銘記すること。
- 一日一度は、必ず緊張をゆるめること。水平に寝て、自分の体重を感じ、血管を流れる血流を感じ、静脈管と動脈管との収縮拡大を感得する練習をすること。
- 踵で呼吸する練習をすること。「荘子」の大宗師、第六には、つぎの語がある。
古之真人。其寝不夢。其覚無憂。其食不甘。其息深深。真人息以踵。衆人息以喉。
----読み方
古の真人は、そのいぬるや夢みず、そのさむるや憂いなし。その食するや甘からず、その息するや深深たり。真人の息は、踵を以ってし、衆人の息は喉を以ってす。
----大意
昔の真人、真にさとった人、すなわち真の健康者は、寝ても夢をみない。覚めているときに少しも心配することはない。その食餌に美味を追求しない。その呼吸は、荒々しくなく緩徐である。真にさとった人の息は、踵でする。喉で呼吸をするのは、衆人、すなわち凡夫で、まださとらない人である。
- 以上、皮膚、栄養、四肢ならびに精神の四大原則が、おのおのの完全な一者をなすとき、真の健康体が築き上げられ、精神統一も無念無想も自由にでき、自律神経も意のままとなるのである。
(おわり)
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